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木工 自作 工作 手作り

レシプロバンドソー



今回はあくまでもし可能ならというつもりで、試しに作ってみた物です。この機械を何と呼ぶべきか知りませんが、言うなれば巨大な糸鋸盤のような物です。ただし、糸鋸刃の代わりにバンドソーの刃を取り付け、ストロークも糸鋸のような精々2,30oなどとけちなことを言わず、200mm程度にしています。また、ブレードが垂直に上下するようにして、以前作ったダブルアーム式の様にブレードが前後に動くような構造にはしませんでした。

もしこの機械が実用的なら、作るにしても買うにしても高価で面倒なバンドソーなど要らないかも知れないと思い、実際に作ってみればどのくらい使える物か分かるだろうと思ったのが今回の試作の目的です


どんな物かは、次の写真を見ていただければ分かるでしょう。






もっとわかりやすいように、簡単な図面を描いてみました。ブレードのストロークを大きくするためには、必然的に機械の高さも高くなります。仕組みとしては、ブレードを常に上部に引き上げて置いて、それをモーターで動かすクランクで上下運動を作り、ブレードを引き下げ、その過程で工作物を切断するわけです。ブレードが上端に来たときと下端に来たときの張力が大きく変わらないようにし、しかもかなり強い力で引き上げて置かなくてはなりません。そうしないと、ブレードがたわんで綺麗に切断出来ないし、ブレードの切断につながります。そのためには、かなり長いスプリングで引き上げておく必要があり、そのためにも十分な距離を取れる為に機械の高さが高くなります。私は試作品なので、本来コイルスプリングを使うところ、太いゴムバンドにしました。





ただし、下図のような構造にすれば、かなり小型に出来ます。いずれにせよ、上部のバーが上端でも下端でも可能な限り等しく強い力で引き上げられていなければなりません。

もし、これがバンドソーの代わりになるなら、御の字だし、高いバンドソーなど買う必要はないし、作るのもバンドソーよりは簡単です。例えば、今回の試作品は、モーターなどは試用のために有る物を使いましたが、後は殆どスクラップです。




モーターですが、最初小さなボール盤に使われていた200w程度の小さなモーターを使ってみました。が、力が弱すぎるのと、プーリーの溝サイズが違いすぎて全く動きません。







そこで、一時的に750w 1馬力のモーターに交換しました。旋盤に使っているモーターで、三相200Vであり、インバーターで速度を変えることが出来ます。







モータープーリーから木製プーリー、そしてクランクを回して、ブレードを引き下げるバーを上下に動かしています。







クランクの回転運動を上下直線運動にするためのガイドで、これは上部のバーも同じ様なガイドに沿って動きます。








テーブルとブレードで、使い方は通常のバンドソーと同じです。





で、結論を言うと全く駄目です。まず、ストロークが大きいので、当然振動も大きくなり、速いスピードでは、よほど頑丈に作らないと全体が壊れそうだし、なにより安定して材料を切ることが出来ません。

回転スピードを落としても振動が無くなるわけではなく、やはりどうやっても安定して切ることが出来ないし、油断をすると材料が外れて跳ねたりして危険です。

それを防ぐにはストロークを極端に小さくし、そして回転スピードを下げれば、何とか使えるかも知れませんが、効率が悪すぎ、むしろ手挽きのフレームソーの方がましです。

比較として自作のバンドソーで切る様子を動画に乗せていますが、当然ながら安定して使えます。今回試しに作ってみた機械は、手挽きのフレームソーよりも駄目で、仮に充分頑丈に作っても、到底バンドソーと比べるわけには行きません。バンドソーと完全に同じ性能など有りえず、かなり劣るだろうけれどもしかしたらバンドソーを買ったり作るよりは良いかも知れないと試してみましたが、これで苦労するくらいなら、バンドソーを自作する方がよほどましです。きちんとやれば1週間でバンドソーは作れるし、費用もこのレシプロバンドソーと余り変わらないだろうと思います。


このレシプロバンドソーは、作る前から、恐らくバンドソーの替わりにはならないだろうと思いながら証明のために作った物ですが、しかし、やりようによっては実用化は出来るでしょう。ただし、そこまでやるくらいならバンドソーを作るなり買った方がよいという事です。


例えば下図のように、ブレードをクランクではなくピニオンギアとラックで十分に大きなストロークでゆっくり等速で往復させる、つまりモーターを自動的に反転運動するようにして、ブレードの張力は常に一定に保つために図のようなワイヤやガイドプーリーなどで上下を同期させるなどすれば、振動は殆ど無視出来るまでになるし、それなりにスピードも上げられるだろうし、ストロークが大きい分効率も上がるでしょう。また、ピニオンではなく、ボルトとナット式で、ナットを回転させボルトを上下に動かす等も可能なはずです。ただ、そのような機構にするくらいならバンドソーの方がよほど有利だろうという話です。








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